東京農工大学融合研究支援制度
『TAMAGO』
2018年度採択課題
東京農工大学は、科学技術イノベーションにより未来を切り開き、世界に向けて日本を牽引する理系研究大学として、第3期中期目標計画期間(平成28~令和3年度)の学長ビジョンに“世界が認知する研究大学へ”を掲げ、戦略的機能強化を進めています。この度、次期中期目標計画期間に向け、先駆的なフロンティア研究チームの「TAMAGO(Technologically Advanced research through Marriage of Agriculture and engineering as Groundbreaking Organization)」を発掘し育成することを目的に、新たな制度を創設することにいたしました。農学研究院及び工学研究院の研究者が融合した先駆的な研究課題に挑戦する研究チームを支援し、さらに、それらを束ね組織化することで、本学のオープンイノベーションの中核とすることを目指します。
2018年度TAMAGO採択課題
農工融合による排水・廃棄物からの栄養塩アップサイクリング技術の開発
植物から電気を得る植物電池
研究代表者:直井勝彦 教授
(工学研究院・応用化学部門)
「植物電池チーム」
植物の光合成で得られた有機物を土壌中の発電微生物が分解し、その際に生じる水素イオンを元に電気を貯蓄することで、光合成で得られるエネルギーを電気に変えることができます。これは光エネルギー → 化学エネルギー → 電気エネルギーへの転換です。しかしこの方法で生じる電気は超微弱であることが実用上の大きな課題となっています。本プロジェクトでは、植物の持つ潜在的な光合成能力を最適な選定/混植/育て方などで可能な限り引き出し、土壌発電微生物からの集電の効率化を進め、さらに電極のデザインやコンデンサやキャパシタを駆使した微弱電流の効率的な蓄電方法を確立することで実用化に向け挑戦します。
「植物電池チーム」メンバー
直井勝彦 教授|工学研究院・応用化学部門
大津直子 教授|グローバルイノベーション研究院|農学研究院・生物生産科学部門
岡崎伸 教授|農学研究院・国際環境農学部門
直井和子 社長|K&W Inc.
沖田尚久 助教|工学研究院・応用化学部門
岩間悦郎 准教授|工学研究院・応用化学部門
元坤 特任助教|グローバルイノベーション研究院
McMahon Reid 客員准教授|MIT・Department of Mathematics
玉光賢次 執行役員|日本ケミコン株式会社
宮本淳一|日本ケミコン株式会社
横山正 名誉教授
参考情報
超遠心ナノハイブリッド技術による次世代ハイブリッド キャパシタ電極材料の研究開発
直井 勝彦、岩間 悦郎、木須 一彰
Electrochemistry 85巻(2017 )11号 p. 740-745
DOI: 10.5796/electrochemistry.85.740
農学と工学の融合によるマイクロプラスチック汚染の総合的解決
研究代表者:高田秀重 教授
(農学研究院・物質循環環境科学部門)
「マイクロプラスチック総合科学研究チーム」
本研究チームは、農学と工学の研究者がその強みを融合し、マイクロプラスチック汚染という社会的課題の総合的解決を世界に先駆けて行うことを目指します。今までの先駆的な研究成果を基盤にマイクロプラスチックの分布と生物への影響を環境科学的に深化すると共に、その知見を活用してリスクを低減化する技術開発や素材のライフサイクル評価に取り組んでいます。これにより、本学に汚染実態解明からその対応までをカバーする融合研究拠点を形成し、人類が地球環境と調和しながら持続的に発展することに貢献します。
「マイクロプラスチック総合科学研究チーム」メンバー
高田秀重 教授|農学研究院・物質循環環境科学部門
小瀬亮太 講師|農学研究院・物質循環環境科学部門
石田寛 教授|工学研究院・先端機械システム部門
中澤靖元 准教授|工学研究院・生命機能科学部門
加用千裕 准教授|農学研究院・自然環境保全学部門
参考情報
プレスリリース|プラスチック摂食により、海鳥は化学添加剤に汚染される (2020.1.31)
プレスリリース|海鳥が食べたプラスチック片から添加剤を検出 (2019.8.19)
「農工大プラスチック削減5Rキャンパス」活動宣言 (2019.8.9)
世界の漂流プラスチック小粒を分析する「International Pellet Watch」|日本語ページ
農工融合による排水・廃棄物からの栄養塩アップサイクリング技術の開発
研究代表者:寺田昭彦 教授
(工学研究院・応用化学部門)
「窒素・リンアップサイクリングチーム」
現在、⼈類の⽣活・産業活動から⽣じる排⽔はResource Water・Enriched Waterと呼ばれ、処理すべき対象から、資源・エネルギー回収の対象になっています。⽔処理分野においても汚濁物除去技術の開発から、⽔資源回収技術の開発へとパラダイムシフトが起きており、⽔資源から効率的に資源・エネルギー回収を可能にするイノベーションが必要不可⽋です。本研究チームでは、富栄養化と⽔環境汚染を引き起こす窒素・リン化合物に着⽬し、排⽔処理とエネルギー・資源回収を可能とする技術の開発に取り組みます。新奇微⽣物の探索・獲得・ポテンシャル評価から、回収技術のプラットフォームにより、省エネとエネルギー・資源回収をコンセプトとした新規窒素マネジメントシステムを構築します。
参考情報
Suenaga et al., Enrichment, Isolation, and Characterization of High-Affinity
N2O-Reducing Bacteria in a Gas-Permeable Membrane Reactor
Environmental Science & Technology (2019), 53: 12101-12112
DOI: 10.1021/acs.est.9b02237
Terada et al., Hybrid Nitrous Oxide Production from a Partial Nitrifying Bioreactor: Hydroxylamine Interactions with Nitrite
Environmental Science & Technology (2017), 51: 2748-2756
DOI: 10.1021/acs.est.6b05521
Hashimoto et al., Formations of Hydroxyapatite and Inositol Hexakisphosphate in Poultry Litter during the Composting Period: Sequential Fractionation, P K-edge XANES and Solution 31P NMR Investigations
Environmental Science & Technology (2014), 48: 5486-5492
DOI: 10.1021/es404875j
他年度の採択課題
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研究支援課研究推進室
E-mail: wakate[at]cc.tuat.ac.jp([at]を@に変換してください)